三樂文庫
里山資本主義 ー日本経済は「安心の原理」で動くー
2022.04.11
再読してみた。
以前この著を読んだ時よりさらに資本主義は傷んでいるように感じる。
行き過ぎた「マネー資本主義」が世界中を駆け巡り、「格差」は極端に増すばかり。
所得、地域、人口、医療、教育、情報、雇用、世代間…
同時に「社会の分断」も世界のあちこちで起こっている。
人口1,000万人の小さな国オーストリアの事例を見習いたい。
一人当たりの名目GDPは世界14位、日本は24位。
北海道ほどの国土で、最大限森林資源を大事に活用している。
化石燃料の代替は資源を活かした木質バイオマスエネルギーのほか、風力、太陽光など…
化石燃料の産出が見込めない国土に加え、内陸国ゆえ、石油は海上輸送(タンカー)不可、
「脱原発」を憲法に明記している国家なのだ。
一方、日本は極東の島国で、海に囲まれた海洋の国でもあり、自然に恵まれた森林の国である。
また、稲作を中心とした農耕民族である。地理的、歴史的に一次産業の好条件は揃っている。
文化的にも勤勉で誠実な国民性だ。
数字だけで評価できない、またはお金で買えない価値を潜在的に持っている。
オーストリアに引けを取らない国なのに…
自然との共生や循環型社会の形成、エネルギーの課題解決は、綺麗事ではなく、
日本が取り組む必ずや成果の出せる分野に違いないと思っている。
それこそが、未来の世界、未来の子どもたちにバトンを繋ぐ大切な仕事だと思う。
いつもの締めくくりだが、まずは自分のできる小さな小さなことから始めよう。
- 三樂文庫No:071
- 著者:藻谷浩介 NHK広島取材班
- 出版社:角川書店
- 発行日:2013年7月10日
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文章・写真: 三樂編集部