三樂文庫
一汁一菜でよいと至るまで
2022.06.20
「一汁一菜」と聞くと戦国武将の時代・歴史小説で度々見かけます。
下級武士の食生活、旅路の途中、戦の最中、簡易でありながら腹持ちがする質素な食事だろうと想像します。
ただ、1日2食で大丈夫かしら。
しかし筆者は、ご飯は玄米、味噌汁を具沢山にして、ありものの食材に手を加えれば、
飽食の現代においても最も健康的な食事になり得るだろうと考えはたどり着く。
現代は食材にありふれ、調理器具と調理方法が進化し、提供のサービスが大きなビジネスになっている。
「食べる」ことに関しては、随分様変わりの昨今です。
もうひとつ「自給自足」という言葉がある。
「自給」は、例えば「食料自給率」とか「自給自足の生活」の言葉の意味で、
自ら食糧となる植物を育て、手を加えて「食材」にするということで理解しているつもりたが、
「自足」という言葉を切り離してみると「自ら足りる」となる。
つまり、「自分で賄う」。
自分で調理するということも含めて「自給自足」が成り立つ。
私は「自給自足」の生活に憧れを持っているが料理は全くした事がない。
どうしたものかと思っていたが、この本を読んでまず、
ご飯を炊く事。
つぎに味噌汁を作る事。
できれば「一菜」の「香のもの」を作るために「漬物」の勉強をすれば
「自足」ができると聞くと、なんとか頑張ればできそうな気がしてきた。
話は変わるが、
土井氏の料理人としての仕事に対する向き合い方は、真剣に庭を作る人たちと通じるものがあるように思える。
素材(植物)がある。器(材料・資材)がある。空間(庭)がある。作るには道具がいる。
そして、そこにいる(住む・見る)人の為に…
その人たちの笑顔のために…
料理と庭は似ているなぁ。
「道」のような精神的なものも含んでいたり、一方、家庭料理のような日常的なものであったりする。
後者の方で、ご飯を炊いて、味噌汁を作ってみようと思えてきた。
- 三樂文庫No:080
- 著者:土井善晴
- 出版社:新潮新書
- 発行日:2022年5月20日
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文章・写真: 三樂編集部