三樂文庫
「日本の庭」
2021.04.19
一章から十章までは作庭家についてあるいは作庭について、文学者とは思えぬ深い知識と
実証に裏打ちされた洞察力にて著者の見解が鋭く記されています。
しかし、体系的、時系列的に理解していない私にとってとても難しく、つっかえながらもたもた
読み進みました。
しかし訪れたことのある庭園や作庭家の
解説、評価は、誠に新鮮であり、一刀両断の酷評部分は、少し笑みが溢れます。
また、最終章の「跋(バツ) 庭師たちの美意識」では、
歯に衣着せぬ著者が、庭師の美意識の高さと創造性について高く評価されています。
若い頃読んだ立原正秋、この本と同時に読んだ「夢は枯野を」など、男女の関係の書ばかりで
まさかこんなにも「庭」に造詣が深いとは思いもよらず、
人間「立原正秋」に非常に興味が湧いた一冊でした。
折しも昨年、重森三玲、雪舟の庭を見てきたところなので、特に時代は違えど
このお二人への見方、評価が格別に面白かったのです。
日本庭園好きな方にお薦めです。
著書:日本の庭
著者:立原正秋
発行所:新潮社
発行日:昭和52年4月25日
日本の庭
- 三樂文庫No:020
- 著者:立原正秋
- 出版社:新潮社
- 発行日:昭和52年4月25日
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文章・写真: 三樂編集部