三樂文庫
【地球人ライブラリー】 手仕事の日本
2021.10.25
この一冊は戦時中に書かれたものとあり、記してある内容は昭和15年前後(1940年)の日本の手仕事の現状が述べられています。
「手仕事」という言葉の響きは、人の手による、技術、ぬくもり、心、魂を感じ、耳障りの良い言葉になっている。
しかし、戦後あたりから多くの手仕事が「工業製品」に取って代わりもはや絶滅に近いほどかもしれない。
地方の文化や産業にも失うものが多いと思われる。
著者の前書きより
そもそも手が機械と異なる点は、それがいつも直接に心と繋がれていることであります。
機械には心がありません。これが手仕事に不思議な働きを起こさせるゆえんだと思います。
手はただ動くのではなく、いつも奥に心が控えていて、これが物を創らせたり、働きに悦びを与えたり、
また道徳を守らせたりするのであります。そうしてこれこそは品物に美しい性質を与える原因であると思われます。
それゆえ手仕事は一面に心の仕事だと申してもよいでありましょう。
手よりさらに神秘な機械があるでありましょうか。一国にとってなぜ手による仕事が大切な意味を持ち来すかの理由を、
誰もよく省みねばなりません。
永六輔氏の解説より
日本建築は日本の職人の仕事ほぼ全て網羅します。
もし日本建築の国立学校が一校だけでもあれば、瓦とか畳とか襖などをはじめとした、
多くの業種の職人がかかわりをもつようになります。
その一番よい例が伊勢神宮の遷宮でしょう。
あそこは二十年ごとに建て替えをします。
建物だけでなく、皿一枚からすべて新しくするので、何百人という職人たちがそれで助かってます。
しかも二十年間隔で行われると、次の世代に職人の技を伝えることができるそうです。
永六輔氏のこの解説は1999年(平成11年)の模様…
ご存知のように、第一生命が昨年に行ったアンケートによると、男の子が将来つきたい職業のトップは
「大工さん」でした。しかし問題なのは、せっかく「職人になりたい」といっている子供が多いのに、
その面倒をみるところがないということ。これはもったいない話です。
今年2021年同アンケートによると、
1.会社員
2.You Tuber
3.サッカー選手
以下、10位までに「大工さん」はありませんでした。
様変わりです。
自分なりに僅かでも手間を掛けることを惜しまず、
手仕事の品物を得て、大事に使ってみたい。
- 三樂文庫No:047
- 著者:柳 宗悦
- 出版社:小学館
- 発行日:2000年3月20日
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文章・写真: 三樂編集部