三樂文庫
東海道を歩く旅
2021.11.15
この本を手にとったきっかけは、もう10年以上も前のことになります。
仕事のパートナーと出張先(インド)での談話の中で、趣味のひとつ「旧街道歩き」
の体験を聞き、非常に興味を持ちました。
「東海道」を一度試してみよう。
とある年の1月に「日本橋」を出発してから
2月は「大磯」
GWには「箱根」を越えて三島へ…
休みを利用して「日帰り」若しくは一泊二日で宿場の駒を進めました。
述べ17日間、翌年3月に京の「三条大橋」に辿り着きました。
今と違ってGoogle Mapも無いので、2冊の本を頼りに「旧道」を歩くも
途中何度か道を間違えてしまった。
なかなか難しい。
ちょうど、2001年(平成13年)東海道400年記念で各宿場が整備された後で
旧道の趣を保つ工夫が各宿場町でなされていた。
東海道というと海に沿った町(宿場)を繋ぐイメージですが、
最も印象的なひとつは「峠」。
まさに、山を上る、下る。
箱根峠:「樫の木の坂をこゆればくるしくて どんぐりほどの 泪こぼるる…」の句が立て掛けてあった。
しみじみと理解し、暫くしゃがみこんだ。
登るに登れぬ。
薩埵峠:東名高速を眼下に駿河湾を望む風光明媚な景色が少し楽しめる。
宇津ノ谷峠:峠の手前の集落。風情がある。蕎麦を食した。
真夏の宇津ノ谷隧道はひんやり…別世界。
金谷坂、小夜の中山:真夏の茶畑の道、激坂でした。難所。もう、一歩も歩けない。
鈴鹿峠:積雪の粉雪が舞う道。防寒甘く、身の危険を感じた。
毎回、朝早く歩き出すも旧道には人家が合っても人となかなかいき合わない。
コンビニが無いのでトイレには注意。
一方、道を誤って「バイパス」などに出ると、けたたましい車の騒音に驚かされる。
夏にはお盆の迎え火を家の外で焚いていた(掛川あたり)
他にはお昼を食べた食堂など思い起こすことが出来る。
「明治天皇」の立ち寄りの碑も何箇所かあった。
鉄道が敷かれるまでの明治時代以前の人たちの街道を旅する感情を想像する。
戦国時代の「戦」であったり、参勤交代であったり、
飛脚に託す「文」であったり…
松尾芭蕉であったり、
幕末、維新の頃の武士たち、坂本龍馬であったり、
対面で話しをするために旅をする。
街道を何日もかけて歩く。
行き来する。
道路も交通手段も進んだ今こそ、歩く時間が面白かった。
再び、歩いてみたい。
- 三樂文庫No:050
- 著者:ウエスト・パブリッシング
- 出版社:山と渓谷社
- 発行日:2008年11月5日
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文章・写真: 三樂編集部