三樂文庫
いのちを守るドングリの森
2021.12.20
どんぐりと呼ばれる実をつける樹種は、カシ、ナラ、シイ、またはタブノキ、クヌギなど
常緑(照葉樹:カシ類)、落葉(夏緑:ナラ類)広葉樹たちです。
昨年9月、旧白洲邸「武相荘」で拾ったどんぐり(ナラ?)3個は、それぞれポットに植え今年初めに芽吹きました。
その後、鉢に植え替え秋には腰高の高さに成長し、小さな紅葉を魅せていました。
来年、大事に植樹したいと思っています。
ところで、本文ですが、
「木を植える目的」は、おおきく3つに分けられる。
ひとつは、「木材生産」のため、
ふたつめは、「美化」のため、
著者はこう述べています。
「しかし今最も重要な緑は、すべての市民の生存と心身共に健全に生きてゆける生活環境を
未来に保障するいのちの森、ふるさとの森ではないか、人間は、地球上で緑の植物に寄生する
立場でしか持続的には生きていけない。
寄主にあたる緑の回復・創造こそ、今私たちがしなければならない緊急の責務である。」…と。
まったく共感します。
一方、最終章の”世界の森づくり”という表題は、著者の悲願である「鎮守の森を世界の森に」
にいたった海外現場調査(インドネシア:ボルネオ島、ブラジル:パラ州、中国、モンゴルなど)
の経験から切に思われたのだと推測します。
「世界中の森はすさまじい勢いで破壊されている。東南アジアの熱帯雨林は、
地域の人々が生活していくため、
また日本をはじめとした先進国の木材需要を満たすために、
急速に大規模伐採が行われてきた。
現在(2005年)ではアブラヤシのプランテーションなどが広く進められている。
日本各地で行ってきた本物の森づくりのノウハウをもとに、
ぜひ地球規模で緑の森の回復を目指したい」と…
「日本の企業は経済的な面も考えてか、胸高直径が80cm以上の超高木しか伐採しない。
当時インドネシアやマレーシア政府もそのような規制をしていた。
1ha当たりの超高木の本数は3本か4本くらいである。
したがって目指す超高木を丁寧に伐採して搬出すれば、その下の高木層や亜高木層に
ラワンの後継樹が待っている。10年、20年経てば再び超高木が形成されて、
森林のシステムを維持しながら持続的な利用が可能である。
ところが種々の理由で、超高木だけでなく小径木まですべて伐ってしまう。
伐った後にすぐ焼き畑にして、陸稲やトウモロコシを作る。」…
さまざまな事情があるなかで弊社も2003年より正規のルートで南洋材を仕入れているが
この問題を蔑ろにできない。
無駄が無いように大事に取り扱うこと、またそれをお客様にも共有していただくこと。
それだけでは足りない。
積極的な立案と具体的な行動を実現する責任があると思っている。
- 三樂文庫No:055
- 著者:宮脇 昭
- 出版社:集英社
- 発行日:2005年1月19日
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文章・写真: 三樂編集部