三樂文庫
大いなる錯乱ー気候変動と〈思考しえぬもの〉
2023.10.30
〈著者インタヴューより〉
-[スコットランドの]グラスゴーでは、ちょうどCOP26[第26回気候変動枠組条約締約国会議]がはじまったところです。
その開催前夜に届いた『ニューヨーカー』誌のメルマガには、気候変動に警鐘を鳴らした古典的な記事が二本
-ビル・マッキンベンの「自然の終焉」(一九八九)、および、エリザベス・コルバートな「人間の季候」(二〇〇五)-再録されていました。
その前口上で同誌の編集者はこう書いています
-「物書きや編集者ならだれでも、気候変動がもたらす緊急事態をめぐる記事を掲載することの危険を熟知している。
読者の多くは、陰鬱な気分になるのをきらい、なんでもいいから別の記事を読みたがるもらのだから。
しかしながら、マッキベンとコルバートは、それぞれ独自の知的かつ文学的な力わざでもって、
これら瞠目すべき文章を世に送りだしたのだった。
もちろん、グラスゴーからもたらされる日々のニュースを追いかけよう。
だが、そこに賭けられている真の問題を理解するために、もっと深く掘り下げてみようではないか。
さあ、すこしばかり時間をとって、ビル・マッキベンとエリザベス・コルバートを読もう」。
この呼びかけは、まさにタイムリーなものだと感じました。
というのも、本書『大いなる錯乱』はまさに、こういった「深く掘り下げ」る試みの代表的なものであり、
また、そのなかでもたいへんユニークなものであると言えるからです。
〈中略〉
とはいえ、本誌が上梓された2016年からすでに五年がたっているわけで、
この五年間にあまり多くの変化があったのも事実です。
なんといっても、わたしたちはいまだに新型コロナウイルスの世界的感染拡大の真っただなかにおり、
それ以前の世界を思い出すのが困難なほどです。
この間、グレタ・トゥーンベリが彗星のごとく登場し、
ある意味でその裏面とも言えるトランプ大統領とその一派の台頭といった事態も目のあたりにしました。
また、SDGsといった表現が日々の生活のなかに浸透するようになりました。〈三原芳秋〉
読解が少し難しかったのですが、
いままさに、地球のあちこちで気候変動を実感し、
その速度の速まりに危機感、絶望感を抱いている人々は大変多くなったと思います。
ただ、それを止める、あるいは遅らせる議論は他の何かが優先して為政者の危機感はどこまで本気なのか心配です。
ひとりひとりの「できることから始める」ことはもちをん大事(前提)なのですが、地球の課題として本気で見方を変えて
全力で取り組まないと取り返しがつかないと思います。
以前から言われていることですが…
- 三樂文庫No:126
- 著者:アミタヴ・ゴーシュ
- 出版社:以文社
- 発行日:2022年10月15日
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文章・写真: 三樂編集部